先週金曜日より、曹洞宗大本山永平寺にて4日間の参禅研修に行ってきました。
坐禅を始めて1年ほど経ちますが、まだまだ坐禅の姿勢にしても、心持ちにしても、
永平寺に行けるほどのモノを身に着けられたわけではないのですが、大阪を離れる前に
是非一度道元禅師様の下で坐らせて頂きたかったんです。なぜ坐禅するのかと
よく訊かれますが、なぜ走るんですかと同じ質問かと思います。全国から集まった
見ず知らずの13人がケータイやテレビから遮断された共同生活を始めました。
1月の永平寺は雪が2-3m積もって、そりゃもう大変と聞いていましたが、
意外にもそれほどでもなく、今年は例年より暖かかったようです。
永平寺では、約200人の雲水(うんすい。修行僧のこと)がいらっしゃり、
そのほとんどが20代前半の若者。その雲水たちが僕ら研修生の指導者です。
三黙道場と言って、禅堂、東司(とうす。お手洗いのこと)、浴司(よくす。お風呂)
では私語禁止です。注意されると、つい「はい」とか「すみません」と反射して
しまいますが、そこでまた怒られます。また独特の食事作法を徹底的に学びます。
肉・魚を食べませんが、穀物や野菜と言えど他の生命の命を奪って
食べるわけで、つまり食事とは命と命のやりとりです。よって食事は諸法と
同等に大事とされているんです。食事を終えるとクタクタになります。
実際にどんなことをしてきたのかというと、朝0410起床、40分の坐禅をした後、
本堂で上役のお坊さんや雲水たちと一緒に読経などを正座で1時間、
禅堂に戻って少し坐った後で1時間の朝食を坐りながら。清掃で身体を
動かせるのが本当に気持ちよかったです。洋式便座に座れるのも嬉しかった。
休み時間は午前と午後に約30分づつくらい。トイレに行ったり、ストレッチを
してるとあっと言う間です。一日のメインの昼食を食べると坐禅40分を2セット。
そうこうしているうちに、また夕食で坐禅。お風呂に入った後も坐禅。
2100消灯ですが、実際には2200に部屋の電気を消してました。
全体スケジュールは事前に知らされず、次とその次くらいの予定しか
研修生はわかりません。この方式はNSIトライアスロンスクールで西内さんも
使いますが、目の前のメニューに集中できるように思えます。
法堂(本堂)では焼香もさせて頂きました。100人弱のお坊さんが左右から
お経を唱えて下さっている中を、焼香台に向かって歩くのはそれだけで
なんだか申し訳ないというか、もったいない気分でした。表現が稚拙で
すみませんが、とにかく大迫力です。とはいえ、お坊さん方は大きな声で
読経しているわけではありません。中音がいいとされていますが、
大きくもなく小さくもない周りに合わせ調和を保っているんです。
坐禅会でもそうですし、今回の参禅研修でもそうですが、何柱(1柱は40分)
坐れるかとか、何年のキャリアがあるのかとか、そういうことが話題の
中心になりがちですが、道元禅師様は「所謂坐禅は習禅に非ず。唯是れ
安楽の法なり」と言われています。つまり坐っていること自体を楽しもうと。
以前から坐禅は走ることと似ているなと感じていましたが、今回さらに
そう思うようになりました。
それぞれのランナーがそれぞれの目標に向かって走る。それぞれの
目標は違うけれども、走ること自体を楽しむ。多くのアスリートや
坐禅の仲間に出会え、喜びを分かち合えて本当に幸せです。
最後に、普及部部長と雲水たちが研修の終わりに下さったコメントです。
「研修生が私達に初心を思い出させてくれました」と。目をウルウルさせていた
研修生多数。雲水たちもウルウルしてくれてました。
アイアンマンチャンピオンシップのコナに12回も出場しているタケさんが、
シルトラの練習会や飲み会に来てくれる度に言って下さっていますが、
初心者の熱い気持ちや基本を忠実に守る姿には勉強させられると。
道元禅師様も次のようにおっしゃってます。
「仏道は初発心のときも仏道なり。
成正学のときも仏道なり。
初中後ともに仏道なり」
そういえばNSIダンデークラブの前回の飲み会のときも、H川隊長や
たけーしさんと同じ話になりました。初心者がするのもトライアスロン、
ショートで年間エイジチャンピオンになられたH川さんがするのもトライアスロン。
ともに同じトライアスロンだと。